日本が人口減少時代に入っていることは皆さんご存知の通りだと思います。そしてその遠因の1つになっている「核家族化」はもはや当たり前で「非核家族」の方が珍しいくらいです。

そんな時代を反映してか「減築」という動きが少しずつ広がっています。読んで字の通りで、要は「増築の逆」だと思っていただければ結構です。

これまでの改築、リフォームでは「(家族が増えて)手狭になってきた家」が中心でした。土地の値段が高い時代は、利便性を犠牲に出来ない子世帯が郊外に別世帯を構えるのではなく、親世帯と同居し二世帯住宅という選択肢も珍しくなかったのです。これも増築の一種でした。

そして現代の「減築」。子世帯の独立により広くなりすぎた家を、身の丈にあった大きさに改築するのが一般的です。広すぎる家のマイナス点をさっと思いつく限り列記してみましょう。(高齢夫婦世帯を想定しています。)

  • 税負担が重い。(固定資産税・都市計画税)
  • 維持管理が大変。(清掃、通風等)
  • 居住者の高齢化に伴う負担の増大(清掃等)
  • 修繕費負担が重い。(広さに比例。)
  • 物を探すのが大変。
  • 水道光熱費の負担。(冷暖房が効きづらい。)

皆さんもこんな悩みに思い当たりませんか? 家というのは「使わなければ3ヶ月で傷む」と言われています。清掃や通風は人間で言う新陳代謝みたいなものですから、広い家はそれだけ維持が大変なのです。まして高齢者世帯では「2階に上がるのすら億劫になる」ケースも珍しくないので、その負担は想像以上に重いはずです。

それを「減築」によってリフレッシュさせれば、新陳代謝が促進されやすくなり、清潔感が維持されやすくなります。清潔な空気が、居住者の健康与えるプラス要因も重要ですね、特に高齢者の場合は。

でもこうして考えてみると、引き戸という文化を伝統に持つ意味は大きいですね。高温多湿な気候に対応するため、基礎から床を高くしたり、引き戸によって通風性を確保しやすくしたり。「人が動けば、空気が動く」という自然な循環を屋内に作って、家を長持ちさせるようにしてきました。さすが世界最古の木造建築物を持つ国だけのことはあります。